賃貸物件を退去する際、壁や床などの「原状回復」をする義務があります。
「クロスの原状回復は必要?」
「クロスの耐用年数は?」
「クロスは耐用年数を過ぎると原状回復義務はない?」
クロスについて、不安を感じている人もいることでしょう。
この記事では「クロスの耐用年数」について紹介し、退去時の原状回復義務への不安を取り除きます。
クロスとは?
クロスとは「壁紙」のことです。
賃貸物件を借りた場合、壁面に薄い壁紙が貼られていることが多いでしょう。
生活していると、だんだん色あせてきたり、タバコなどで黄ばんでしまうこともあります。
この「クロス」には、耐用年数というものが存在します。
クロスには「原状回復義務」がある?
「原状回復義務」とは、退去する際に「入居時と同じ状態に戻す義務のこと」と思い込んでいる人もいるかも知れません。
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、以下のように定められています。
「原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような仕様による損耗・毀損を復旧すること」
引用元:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
つまり、「日常の(普通の)生活によりできる傷・汚れ」については、入居者負担にならないこともあるということです。
この記事で紹介する「クロス」も、日常的に劣化していくものの1つです。
最後までお読みいただき、詳しく知っておきましょう。
クロスの耐用年数とは?
国土交通省によると、賃貸契約書に記載がない場合「クロスの耐用年数」は6年と定められています。
一般的に「賃貸物件」を借りるのは、学生のイメージがあるのではないでしょうか。
大学へ進学した際に借りた部屋を、卒業したら退去します。
主に4年程度で退去する人が多いため、クロスの耐用年数に満たないことがあります。
そのため、多くの人はクロスを「原状回復しなければならない」という考えをもっているようですね。
しかし、クロスの耐用年数は6年と定められているため、6年以上入居していた場合、原状回復費用が必要ないことがあります。
この場合、原状回復は大家さん負担になるのです。
クロスの原状回復費は全額負担?
「クロスの耐用年数」を経過していれば、主に大家さんが全額負担します。
しかし、クロスには「経年劣化」というものが存在するので、知っておくようにしましょう。
「経年劣化」とは「普通に生活していても劣化する」というもので、壁紙が色あせたりする現象のことです。
入居してから6年を経過していなくても「経年劣化によるもの」と判断された場合、全額負担する必要はありません。
例えば「入居から4年で退去」を考える学生の場合、耐用年数の2/3となる期間分を負担することが多いようです。
ただし、賃貸契約書などに「全額負担」と明記されていることもあるため、入居時に確認しておくようにしましょう。
また、借主が「故意」「不注意」で壁を傷つけたり汚した場合は、耐用年数を超えていても全額負担することがあります。
「故意」「不注意」などは、借主と貸主の間で解釈が異なる場合があるため、よく話し合う必要があるかもしれません。
例えば「タバコ」による黄ばみは、借主の生活の一部といえます。
しかし、オーナーによっては「意識的に掃除すれば大丈夫」という解釈をすることがあります。
この場合、借主がクロスの原状回復費を負担することもあるので、注意が必要です。
オフィスとして利用の場合は適用外
賃貸物件を「オフィス」として利用することもあるかもしれません。
住居として借りている物件であれば、ガイドラインが適用されることが多いでしょう。
しかし、オフィスの場合は適用外となることのほうが多いと言えそうです。
というのも、オフィス利用の場合は、契約書に「特約」として明記されていることがあるからです。
オフィスとして利用する場合、壁紙を変えたりインテリアを変更することがあります。
「内装」にこだわるビジネスオーナーなら、特に意識しているところでしょう。
入居時と大きく内装が変更になることが多く「特約」が明記されるようになります。
この場合、借主の全額負担になることが多いので、契約書を確認しておくようにしましょう。
【まとめ】クロスの耐用年数について
賃貸物件のクロスには「耐用年数」があります。
ガイドラインで定められている「耐用年数」は、6年です。
6年以内であっても、入居者が全額負担する可能性は低いといえます。
しかし、オフィス利用の場合は「特約」として契約書に記載されていることがあります。
入居者の全額負担になるケースも多いため、契約書を確認しましょう。
クロスには「経年劣化」が存在するため、借主と貸主の間で解釈が異なることもあります。
契約書を確認したり、貸主と話し合いなどで解釈の相違をなくすことで解決します。
入居時に話を聞くなどして、解釈の違いが起こらないようにすると良いでしょう。
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