キッチンは料理を行う場所であり、住まいづくりをする時にもっとも悩む部分ともいえます。家庭で料理をする人にとってはキッチンで過ごす時間が多くなるもので、使っていく中で不満も覚えるものです。しかし一度設置してしまったキッチンというのは簡単に間取りを変えることはできません。このため、使いやすい間取りを考えることが必要になってきます。
一般的に現在のキッチンというのはシステムキッチンが使われるもので、この場合には既製品を組み合わせて作るものです。実際にはメーカーがさまざまな試行錯誤を繰り返す中で使いやすいと思われるものを作り出していますが、現実はそれに満足できるものではありません。それぞれの家庭によって使いやすいキッチンというものが存在しますし、料理の内容によっても変わってくるものです。キッチン作りをする時には第一には基本動線を考えることが大切になります。住まいづくりでも動線を考えるということはよく言われるもので、限られた空間の中で、動く人に配慮して間取りを決めるというものです。
料理を作る場合には、冷蔵庫から食材の出し入れを行いますし、シンクで食材やお皿を洗うといったことが行われます。また作業台ではまな板を置いて食材を刻みますし、火を通す場合にはコンロやグリル、または電子レンジなどの調理器具を使うものです。料理は食器に盛り付けて配膳することになりますが、テーブルまでの動線も大事になります。もちろん後片付けのことも考えておく必要があります。このような一連の動作を考えて間取りを作る必要があるものです。システムキッチンを販売するメーカーでもその動線に配慮して配置を提案しており、動線を考えないで配置を変更すると効率を悪化させ不満に思う原因になります。
ワークトライアングル とは?
キッチンでの動線を考えるもっとも単純なものがワークトライアングルと呼ばれるもので、これは「コンロ」「シンク」「冷蔵庫」の3つを結ぶ作業動線のことです。実際のところ料理は、冷蔵庫から食材を出してシンクで洗ったり切ったりし、コンロで加熱します。もっともわかりやすいが、小さな家の場合で一直線に設備を配置すると冷蔵庫、流し台、コンロになるというものです。狭い場合には選択肢がないので、このワークトライアングルに沿って作れば、間違いはありませんが、広い場合にはその配置にはその距離を選ぶことが重要になってきます。
ワークトライアングルは近すぎると、不便を生じさせるもので、理由としては作業スペースが限られるためです。このため理想ではそれぞれの距離は1.2メートル以上空いていることが望まれます。一方で、遠すぎると移動時間が掛かるのでかえって効率が悪くなり6.6メートル以内であることが良いものです。また家庭の場合には一人で料理するということが多いですが、複数の人がキッチンに立つような場合には余裕をもたせることが、作業を効率化する上では欠かせません。例えば、コンロやシンクから背後の壁や食器棚、食卓までの距離が1メートル未満であれば後ろを人が通るのが難しくなります。
対面型であればキッチンに入る必要はありませんが、そうではない場合には人が通るスペースを考慮することが大事です。
このほか、料理をする人の体格にも注意を払う必要があります。右利きの場合には右回りに設備を配置する方が使いやすいものですし、また背が低いと調味料や食器を取り出すまでの高さがネックになります。このため上の方に設けるのではなく下に置き場所を作るといった配慮が必要です。
いずれにしても使いやすいキッチンの間取りは、現在の使っているキッチンの良いところと悪いところを考え、想像力を働かしたり、実際にショールームで体験してみるなどして選ぶことが欠かせません。